ISBN:4794805667 単行本 渡井 理佳子 新評論 2002/07 ¥3,150



18歳以下の子ども兵は、全世界で30万人以上とも言われている。
正確な数字は分かっていない。

それは「見えない」から。
雇った者たちが存在を否定し隠すから。
市民や報道機関、都市部から離れた紛争地域で過ごすから。

そして「消えてしまう」から。
殺されてしまったために、負傷したために、置き去りにされたために。

子どもが、大人の戦争の被害者であると同時に、
子ども自身が、殺し、奪う、戦争の「加害者」にもなってしまう。

暴力と貧困と極度の緊張の中からなんとか生還できたとしても、
たとえ長い紛争が終わったとしても、
そのころには成人になっており、子ども兵だった事実は隠れてしまう。

そして遊ぶ機会も学ぶ機会も得られなかった彼らは、
文字も読めず、安定した仕事に就くこともできず、
農業などの、「生産」する技術・知識もなく、
唯一持っているのが、「戦う技能」であり、
紛争が終わった後も、治安を悪化させる原因にさえ、なってしまう。


居・食・住、
遊ぶ時間、学ぶ時間、
命が脅かされることのない生活、
私が成長するまで、生産能力を得られるようになるまで
辛抱強く待ち、育んでくれる家庭、地域、国。

そういったものを、当たり前のように得られた私だけど、
もし、その土地に生まれたとしたら、
もし、同じ条件下で育ったとしたら、
もし、家族中が飢えてて、父は戦争に行っていなくて、お金も食べるものもない中で、
組織に入れば食べ物をくれるのだと声を掛けられたら、

多分同じようなことをしてしまうと思う。

闇に葬られ、隠されてしまう彼らの存在を
少しでも正確に、多くの人に知ってもらいたい。
―――そういう気持ちのこもった良書です。


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